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打ちつけに物ぞ悲しき木の葉散る
秋の初めを今日ぞと思へば

歌の意味
急にもの悲しくなることだ。木の葉が散る秋の始まりを、今日だと思うと。
鑑賞
巻第五 秋歌上 218

詞書「題しらず」
 木の葉の散る秋の始まりが今日だと思うと、急にもの悲しくなると詠んだ歌である。まだ散ってはいない木の葉の行く末を思い、秋という季節そのものに悲しみを感じている。
 前歌が立秋の風の涼しさを詠んだのに続き、本歌は立秋の日に覚える心の悲しさを詠んでいる。
 作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。

 初句「打ちつけに」は、急に、だしぬけに、の意である。前歌の第二百十七首の初句「にはかにも」と同じく、秋の訪れを突然に感じる心を表している。
 二句「物ぞ悲しき」は、もの悲しいことだ、の意で、係助詞「ぞ」と連体形「悲しき」が係り結びをなす。ここで句切れとなる。
 三句「木の葉散る」は、木の葉が散る、の意で、次の「秋」を修飾し、散りゆく木の葉の季節としての秋を示している。
 四句「秋の初めを」は、秋の始まりを、の意で、立秋を指す。
 結句「今日ぞと思へば」は、今日だと思うと、の意で、「ば」は順接の確定条件を表す。二句と倒置の関係にあり、悲しさの理由を後から示している。

このは:木の葉、秋に色づいて散るものとして詠まれる
作者
よみ人しらず
出典
後撰和歌集
前の歌
にはかにも風の涼しくなりぬるか 秋立つ日とはむべも言ひけり
次の歌
頼めこし君はつれなし秋風は 今日より吹きぬわが身悲しも