あはれてふ言の葉ごとに置く露は
昔を恋ふる涙なりけり
- 歌の意味
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「あわれ」という言葉を口にするたびに、その言の葉に置く露は、昔を恋しく思う涙なのであった。
- 鑑賞
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巻第十八 雑歌下 940
詞書「題しらず」
「あはれ」という言葉を口にするたびにこぼれる涙を、言の葉に置く露に見立てた歌である。過ぎ去った昔を恋しく思う心が、「あはれ」の一語に込められていることを示している。
前歌の第九百三十九首と同じ「あはれてふ」の初句で始まり、前歌が「あはれ」を世を離れられない束縛としたのに対し、この歌は昔を恋う涙として捉えている。次歌の第九百四十一首とは「涙なりけり」の結句を共有している。
作者は「読人しらず」とされ、名は伝わらない。
初句「あはれてふ」は、「あはれ」という、の意。前歌と同じ初句である。
二句「言の葉ごとに」は、言葉を口にするたびに、の意。「言の葉」の「葉」は三句の「露」の縁語となる。
三句「置く露は」は、葉の上に置く露は、の意。涙を露に見立てている。
四句「昔を恋ふる」は、過ぎ去った昔を恋しく思う、の意である。
結句「涙なりけり」は、涙であったのだ、の意。「けり」は気づきの詠嘆を表す。次歌の第九百四十一首と同じ結句である。
ことのは:言葉。「葉」の字から草木の葉に見立てる
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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あはれてふ事こそうたて世の中を 思ひ離れぬほだしなりけれ
- 次の歌
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世の中の憂きもつらきも告げなくに まづ知るものは涙なりけり