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盗人と言ふもことわりさ夜中に
君が心を取りに来たれば

歌の意味
盗人と言われるのももっともだ。真夜中に、あなたの心を取りにやって来たのだから。
鑑賞
巻第八 恋歌下 506

 夜中にあなたの心を奪いにやって来たのだから、盗人と言われるのも道理だ、と詠む歌である。夜更けに忍んで来た男が盗人と責められたのに対し、心を盗みに来たのだと機知で切り返している。

 初句「盗人と」は、盗人だとの意である。
 二句「言ふもことわり」は、言うのももっともだの意で、ここで句切れとなる二句切れの歌である。倒置により下の句がその理由を示している。
 三句「さ夜中に」は、真夜中にの意で、「さ」は語調を整える接頭語である。
 四句「君が心を」は、あなたの心をの意である。
 結句「取りに来たれば」は、取りに来たのだからの意で、完了の「たり」の已然形に接続助詞「ば」が付き、原因を表している。

ことわり:道理、もっともなこと
さよなか:真夜中
作者
よみ人しらず
出典
金葉和歌集
前の歌
かしかまし山の下行くさざれ水 あなかま我も思ふ心あり
次の歌
花漆こやぬる人のなかりける あな腹黒の君が心や