古典和歌stream

かしかまし山の下行くさざれ水
あなかま我も思ふ心あり

歌の意味
やかましいことだ、山の下を流れていく細い流れよ。ああ静かに。私にも思うところがあるのだ。
鑑賞
巻第八 恋歌下 505

 山の下を流れる細い流れの音がやかましい、ああ静かにしてくれ、私にも思うところがあるのだ、と詠む歌である。せせらぎに呼びかける形で、口に出せない思いを胸に抱く苦しさを表している。

 初句「かしかまし」は、やかましいの意で、初句切れの歌である。
 二句「山の下行く」は、山の下を流れていくの意である。
 三句「さざれ水」は、細かな石の間を流れる小さな流れの意で、初句の「かしかまし」の対象を示している。
 四句「あなかま我も」は、ああ静かに、私もの意で、「あなかま」は人を制して静かにさせる語である。
 結句「思ふ心あり」は、思うところがあるの意で、字余りとなっている。

さざれみづ:細かな石の間を流れる小さな流れ
あなかま:静かに、の意で人を制する語
作者
よみ人しらず
出典
金葉和歌集
前の歌
逢ふことはながめふる屋の板びさし さすがにかけて年の経ぬらむ
次の歌
盗人と言ふもことわりさ夜中に 君が心を取りに来たれば