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おほかたに置く白露も今よりは
心してこそ見るべかりけれ

歌の意味
どこにでもありふれて置く白露も、今からは、心して見るべきであったのだ。
鑑賞
巻第六 秋歌中 291

詞書「題しらず」
 どこにでもありふれて置く白露も、今からは心して見るべきであったと詠んだ歌である。前歌で露がわが身の上のことと知ったのを受け、これまで何気なく見ていた露に、改めて心を寄せている。
 本巻の第二百九十首から第二百九十二首までは、夜を明かす身を露に重ねる歌が三首並んでいる。
 作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。原文の作者表記は「よみ人も」とあるが、ここでは「よみ人しらず」として扱う。

 初句「おほかたに」は、ありふれて、どこにでも、の意である。本巻の第二百七十八首も初句に「おほかたも」を置いている。
 二句「置く白露も」は、置いている白露も、の意で、前歌の露を受けている。
 三句「今よりは」は、今からは、の意で、前歌で露をわが身と知ったことを受けている。
 四句「心してこそ」は、注意して、心を込めて、の意で、「こそ」は係助詞である。
 結句「見るべかりけれ」の「べかり」は当然の助動詞「べし」の連用形、「けれ」は気づきの「けり」の已然形で、四句の「こそ」と係り結びをなす。見るべきであったのだ、の意である。

こころす:注意する、気をつける
作者
よみ人しらず
出典
後撰和歌集
前の歌
秋の夜をいたづらにのみおき明かす 露はわが身の上にぞありける
次の歌
露ならぬわが身と思へど秋の夜を かくこそ明かせおきゐながらに