むばたまの妹が黒髪今宵もや
我がなき床になびき出でぬらん
- 歌の意味
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恋しいあの子の黒髪は、今夜もまた、私のいない寝床に乱れ広がっているのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌三 802
詞書は前の歌に続き「題しらず」
恋しい妻の黒髪は、今夜も私のいない床に独り寝のまま乱れ広がっているだろうかと思いやる歌である。共寝の床に広がる黒髪のなまめかしい姿を思い描き、逢えずにいる妻の独り寝を案じている。
万葉集巻十一に類歌が収められている。
初句「むばたまの」は、「黒」にかかる枕詞である。
二句「妹が黒髪」は、妻の黒髪が、の意である。
三句「今宵もや」は、今夜もまた、の意で、「や」は疑問の係助詞である。巻頭の第七百七十七首の二句以下の「今宵も又や」と同じく、今夜もという嘆きを詠む。
四句「我がなき床に」は、私のいない寝床に、の意である。巻頭の第七百七十七首が待つ側の独り寝を詠むのに対し、この歌は通う側から待つ妻の独り寝を思いやり、視点が反転している。
結句「なびき出でぬらん」は、乱れ広がっているだろうか、の意で、係助詞「や」を受け、現在推量の助動詞「らん」の連体形で結んでいる。
むばたま:ぬばたま、うばたまとも言い、黒い実をつける檜扇の実とされる。「黒」「夜」などにかかる枕詞となる
なびく:靡く。横に伏し広がる
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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夜とても寝られざりけり人知れず 寝覚めの恋に驚かれつつ
- 次の歌
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我が背子がありかも知らで寝たる夜は 暁方の枕さびしも