おきて行く人の心をしらつゆの
我こそまづは思ひ消えぬれ
- 歌の意味
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起きて帰って行く人の心を知らないまま、白露が消えるように、私の方こそ先に思い消えてしまった。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌四 863
詞書「返し」
起きて行く人の心を知らず、白露のように私の方が先に思い消えてしまった、と詠んだ歌である。別れのつらさを訴える男に対し、去っていく人の本心がわからない自分の方がよほど悲しく、露のように消え入りそうだと応じている。
前歌の第八百六十二首への返しである。前歌の「白露」「おきて」を受けて応じている。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「おきて行く」は、起きて帰って行く、の意で、「おき」に露が「置く」意と「起く」を掛け、前歌の四句「おきてわびしき」を受けている。
二句「人の心を」は、あなたの心を、の意である。
三句「しらつゆの」は、白露のように、の意で、「しら」に「知ら(ず)」を掛け、心を知らない意と白露を重ねている。前歌の三句「白露の」を受けている。
四句「我こそまづは」は、私の方こそ先に、の意で、「こそ」は強めの係助詞である。
結句「思ひ消えぬれ」は、思い沈んで消え入ってしまった、の意で、「消え」は「露」の縁語である。四句の「こそ」を受けて已然形「ぬれ」で結ぶ係り結びとなっている。
おく:露が「置く」意と、「起く」を掛ける
しらつゆ:「白露」に「知ら」を掛ける
おもひきゆ:思い沈んで消え入る
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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暁のなからましかば白露の おきてわびしき別れせましや
- 次の歌
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高砂のまつと言ひつつ年を経て 変はらぬ色と聞かば頼まむ