ほのかにも我をみしまの芥火の
あくとや人の訪れもせぬ
- 歌の意味
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ほんのわずかに私を見ただけなのに、三島の芥火のように、もう飽きたというのか、あの人は訪れもしない。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 976
詞書は前の歌に続き「題しらず」
ほんのわずか私を見ただけなのに、三島の芥火の「あく」のように、もう飽きたというのか、あの人は訪れもしない、と詠む歌である。わずかな逢瀬の後に訪れの絶えた恋人への恨めしさを、地名と芥火に掛けた言葉遊びで詠んでいる。
本歌から第九百七十八首まで、「あく」を詠む三首が並んでいる。
初句「ほのかにも」は、ほんのわずかに、の意である。本巻の第九百六十八首の四句「ほのかに人を」と、同じ語を共有している。
二句「我をみしまの」は、私を見た、三島の、の意で、「みしま」は「見し」に、摂津国の地名「三島」を掛けた掛詞である。
三句「芥火の」は、ごみを燃やす火の、の意である。上の三句は、「芥」の「あく」の音から四句の「あく」を導く序詞である。初句の「ほのか」と、火のかすかに燃えるさまが響き合っている。
四句「あくとや人の」は、飽きたというのか、あの人が、の意で、「あく」は「芥」の音を受けて「飽く」を表している。係助詞「や」が結句と係り結びをなしている。次歌の第九百七十七首の「あくた河」、第九百七十八首の「あく」と、同じ趣向を共有している。
結句「訪れもせぬ」は、訪れもしない、の意で、打消の助動詞「ず」の連体形「ぬ」で四句の「や」を受けて結んでいる。
みしま:「見し」と、摂津国の地名「三島」を掛ける
あくたび:芥火。ごみを燃やす火
あく:飽く。いやになる、満ち足りる
おとづる:訪る。訪れる、便りをする
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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紅の八入の衣かくしあらば 思ひそめずぞあるべかりける
- 次の歌
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人をとくあくた河てふ津の国の なにはたがはぬものにぞありける