五月雨の空頼めのみ隙なくて
忘らるる名ぞ世にふりにける
- 歌の意味
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五月雨の空のように、あてにならない約束ばかりが絶え間なく続いて、忘れられた女という評判ばかりが、雨が降るように世間に広まり、古びてしまったことだ。
- 鑑賞
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巻第八 恋歌下 489
五月雨の空のように、むなしい約束ばかりが絶え間なく続き、忘れられた女という名ばかりが世間に広まり古びてしまった、と詠む歌である。降ると古るを掛け、五月雨の長雨に寄せて、当てにならない約束に待たされ続けた嘆きを表している。
次歌の第四百九十首は、忘れられるという名は世に広まるまい、五月雨もどうして小止みにならないことがあろうかと答えており、二首は五月雨と「ふる」をめぐって贈答の形をなしている。
初句「五月雨の」は、陰暦五月の長雨のの意で、二句の「空」を導いている。次歌の第四百九十首の三句「五月雨も」と同じ語である。
二句「空頼めのみ」は、あてにならない約束ばかりの意で、「空」に五月雨の空を響かせている。
三句「隙なくて」は、絶え間なくての意で、五月雨が絶え間なく降ることを重ねている。
四句「忘らるる名ぞ」は、忘れられた女という評判がの意で、係助詞「ぞ」は結句の「ける」と係り結びをなしている。
結句「世にふりにける」の「ふり」は、雨が「降り」の意と、評判が広まり「古り」ゆく意とを掛けており、平仮名のままとした。詠嘆の「けり」の連体形「ける」で、四句の「ぞ」を受けて結んでいる。次歌の第四百九十首の二句「ふらじ」も同じ掛詞である。
さみだれ:陰暦五月の長雨
そらだのめ:あてにならない約束、期待させるだけのこと
ふる:雨が「降る」意と、「古る」意を掛ける
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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つらしとも思はむ人は思ひなむ 我なればこそ身をば恨むれ
- 次の歌
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忘られむ名は世にふらじ五月雨も いかでかしばしをやまざるべき