人をとくあくた河てふ津の国の
なにはたがはぬものにぞありける
- 歌の意味
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人にすぐに飽きるという芥川がある摂津の国の、その難波という名のとおり、あなたは噂の名にたがわない人であった。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 977
詞書「延喜御時、承香殿女御の方なりける女に、元良親王まかり通ひ侍りける、絶えて後言ひ遣はしける」
人にすぐ飽きるという芥川のある摂津の国の難波という名のとおり、あなたは噂の名にたがわない人であった、と詠む歌である。摂津の国の地名を連ねた言葉遊びによって、通いの絶えた男の移り気を皮肉っている。
詞書によれば、醍醐天皇の延喜の御代に、承香殿女御に仕える女のもとへ元良親王が通っていたが、通いが絶えた後に言い送った歌である。元良親王は陽成天皇の皇子で、色好みとして名高かった。その評判どおりにすぐ飽きてしまったと、親王を非難している。
作者の「承香殿中納言」は、醍醐天皇の承香殿女御であった源和子に仕えた女房で、生没年は明らかでない。
初句「人をとく」は、人をすぐに、の意である。
二句「あくた河てふ」は、芥川という、の意で、「あくた河」は摂津国の「芥川」に、「飽く」を掛けた掛詞である。人にすぐ飽きるという意を響かせている。前歌の第九百七十六首の「芥火」「あく」を受けている。
三句「津の国の」は、摂津の国の、の意である。
四句「なにはたがはぬ」は、評判の名にたがわない、の意で、「なには」は摂津国の「難波」に「名には」を掛けた掛詞である。親王が色好みとして名高かったことを踏まえている。
結句「ものにぞありける」は、ものであったのだ、の意で、係助詞「ぞ」を受けて、詠嘆の助動詞「けり」の連体形「ける」で結んでいる。本巻の第九百四十二首の結句「ものにぞありける」と同じ句である。
あくたがは:摂津国の「芥川」と、「飽く」を掛ける
なには:摂津国の「難波」と、「名には」を掛ける
たがふ:違ふ。食い違う、一致しない
- 作者
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承香殿中納言
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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ほのかにも我をみしまの芥火の あくとや人の訪れもせぬ
- 次の歌
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限りなく思ひそめてし紅の 人をあくにぞかへらざりける