憂きながらあればある世にふるさとの
夢をうつつに覚ましかねても
- 歌の意味
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つらいながらも、生きていればこうしてある世に年を経て、故郷の夢を現実へと覚ますこともできないままで。
- 鑑賞
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巻第十八 雑歌下 1771
詞書「題しらず」
世を厭いながら捨てきれない心を詠む歌の七首目である。つらいながらも生きていればこうしてある世に年を経て、故郷の夢から現実に目覚めることもできずにいる、と詠む。過ぎた日々への未練から覚めきれないまま、世に生き続ける身を嘆いている。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者は「よみ人しらず」とされ、名は伝わらない。
初句「憂きながら」は、つらいながらも、の意である。次歌も同じ「憂きながら」で始まり、二首が並べられている。
二句「あればある世に」は、生きていればこうしてある世に、の意である。同じ語を重ねて、なりゆきのままに生きるさまを表す。
三句「ふるさとの」の「ふる」は、世に経る意と、故郷の「ふる」とを掛ける掛詞である。
四句「夢をうつつに」は、夢を現実へと、の意である。故郷の夢は、過ぎ去った昔や未練のたとえとなる。
結句「覚ましかねても」は、覚ますことができないままで、の意である。「ても」で言いさし、夢から覚めきれない心のありさまを余韻として残している。
ふる:世に経る意と、「ふるさと」の古る意を掛ける
うつつ:現実。目覚めている状態
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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捨てやらぬ我が身ぞつらきさりともと 思ふ心に道をまかせて
- 次の歌
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憂きながらなほ惜しまるる命かな 後の世とても頼みなければ