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憂きながらなほ惜しまるる命かな
後の世とても頼みなければ

歌の意味
つらいながらも、やはり惜しまれる命であることよ。来世といっても頼みにはならないので。
鑑賞
巻第十八 雑歌下 1772

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 世を厭いながら捨てきれない心を詠む歌の八首目である。つらいながらもやはり命が惜しまれる、来世といっても頼みにはならないのだから、と詠む。この世のつらさと来世への不安との間で、命を惜しむ心を述べている。
 作者の「源師光」は、平安末期から鎌倉初期の歌人である。

 初句「憂きながら」は、前歌と同じ初句である。つらいながらも、の意である。
 二句「なほ惜しまるる」は、やはり惜しまれる、の意である。「るる」は自発の助動詞「る」の連体形で、おのずと惜しまれることをいう。
 三句「命かな」の「かな」は詠嘆の終助詞である。ここで句切れとなる。
 四句「後の世とても」は、来世といっても、の意である。本巻の第千七百六十五首の「来む世」への問いとも響き合う。
 結句「頼みなければ」は、頼みにならないので、の意である。倒置によって命を惜しむ理由を示し、この世にも来世にも頼るもののない不安を述べている。

のちのよ:来世
をしむ:大切に思って失うまいとする
作者
源師光
出典
新古今和歌集
前の歌
憂きながらあればある世にふるさとの 夢をうつつに覚ましかねても
次の歌
さりともと頼む心の行く末も 思へば知らぬ世にまかすらむ