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都にて見しに変はらぬ月影を
慰めにても明かすころかな

歌の意味
都で見たのと変わらない月の光を、せめてもの慰めとして夜を明かすこのごろであることよ。
鑑賞
巻第十三 恋歌三 790

詞書「京に思ふ人を置きて遥かなる所にまかりける道に、月の明かかりける夜」
 都で見たのと変わらない月の光を、せめてもの慰めにして夜を明かすこのごろだと詠む歌である。詞書から、都に恋しい人を残して遠い地へ旅する途中、月の明るい夜に詠んだことがわかる。都と同じ月を見ることで、離れた恋人とのつながりを感じようとする心を詠んでいる。

 初句「都にて」は、都で、の意である。第七百九十二首の四句「都に誰を」と、都の語を共有している。
 二句「見しに変はらぬ」は、見たのと変わらない、の意で、「し」は過去の助動詞「き」の連体形である。
 三句「月影を」は、月の光を、の意である。
 四句「慰めにても」は、慰めとしてでも、の意で、せめてもの、という気持ちを表す。
 結句「明かすころかな」は、夜を明かすこのごろであることよ、の意で、「かな」は詠嘆を表す。

つきかげ:月影。月の光
あかす:明かす。夜を寝ずに過ごす
作者
よみ人しらず
出典
拾遺和歌集
前の歌
久方の天照る月も隠れゆく 何によそへて君を偲ばむ
次の歌
照る月も影水底に映りけり 似たる物なき恋もするかな