- 歌の意味
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空に照る月も隠れていく。これから何になぞらえてあなたを偲べばよいのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌三 789
詞書「題しらず」
空に照る月も沈んで隠れていく、何になぞらえてあなたを偲べばよいのかと嘆く歌である。月を恋人の面影になぞらえて偲んでいたが、その月さえ隠れてしまい、思いを寄せるよすがを失った心細さを詠んでいる。
作者の「人まろ」は柿本人麻呂である。飛鳥時代の宮廷歌人で、万葉集を代表する歌人として歌聖と仰がれ、三十六歌仙に数えられる。拾遺和歌集には、万葉集の歌が人麻呂の作として多く収められている。
万葉集巻十一に類歌が収められている。
初句「久方の」は、「天」にかかる枕詞である。
二句「天照る月も」は、空に照る月も、の意である。
三句「隠れゆく」は、隠れていく、の意で、ここで句切れとなる。第七百八十三首から第七百八十五首の「雲隠れ」と同じく、隠れる月を詠んでいる。
四句「何によそへて」は、何になぞらえて、の意である。第八百三十首の四句「思ひよそへぬ」と、恋人を物になぞらえる「よそふ」の語を共有している。
結句「君を偲ばむ」は、あなたを偲ぼうか、の意で、「む」は意志や推量を表す。
よそふ:なぞらえる。たとえる
しのぶ:偲ぶ。思い慕う
- 作者
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柿本人麻呂
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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さやかにも見るべき月を我はただ 涙に曇る折ぞ多かる
- 次の歌
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都にて見しに変はらぬ月影を 慰めにても明かすころかな