我が袖に霰た走る巻き隠し
消たずてあらむ妹が見むため
- 歌の意味
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私の袖に霰が飛び散る。これを袖に包み隠して、消さずにおこう。妻が見るために。
- 鑑賞
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巻第十 冬雑歌 2312
詞書「冬雑歌」
袖に飛び散る霰を包み隠して、妻に見せるために消さずにおこうと詠んだ歌で、冬雑歌の最初に置かれる。はかない霰を大切に持ち帰ろうとする心に、妻への愛情が表れている。春雑歌の第千八百三十三首の、梅に降る雪を君に見せようと包み持つが消えてしまうという歌と同じ趣向で、季節の景物を愛する人に見せたいという思いが冬の霰に託されている。
作者の柿本人麻呂は飛鳥時代、持統朝から文武朝にかけて活躍した宮廷歌人である。この歌は左注によって「柿本人麻呂歌集」に出ると記される歌で、人麻呂自身の作か、人麻呂が書き留めた他人の歌かは定かでない。
初句「我が袖に」は私の袖にの意である。
二句「霰た走る」の「た」は接頭語で、霰が飛び散るの意である。ここで二句切れとなる。
三句「巻き隠し」は袖に包み隠しての意である。
四句「消たずてあらむ」は消さずにおこうの意で、「む」は意志である。
結句「妹が見むため」は妻が見るためにの意で、倒置によって目的を最後に示している。
あられ:空から降る氷の粒
たばしる:飛び散る。「た」は接頭語
- 作者
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柿本人麻呂
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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祝らが斎ふ社の黄葉も 標縄越えて散るといふものを
- 次の歌
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あしひきの山かも高き巻向の 崖の小松にみ雪降りくる