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祝らが斎ふ社の黄葉も
標縄越えて散るといふものを

歌の意味
神官たちが大切に祭っている社の紅葉でさえも、標縄を越えて散るというのに。
鑑賞
巻第十 秋相聞 2309

詞書「譬喩歌」
 神官が大切に祭る社の紅葉でさえ、標縄を越えて外へ散るというのにと詠んだ歌で、題詞は「譬喩歌」である。厳しく守られた社の紅葉が標縄を越えて散ることに、周囲に固く守られた女性でさえ恋のために境を越えることがあるという意を託していると考えられる。秋相聞の短歌の最後に置かれ、恋の障害を越える思いを詠んでいる。

 初句「祝らが」の「祝」は神に仕える神官の意である。
 二句「斎ふ社の」の「斎ふ」は身を清めて大切に祭る意である。
 三句「黄葉も」は紅葉もの意で、「も」はさえの意を含む。
 四句「標縄越えて」の「標縄」は神域を示すために張る縄の意である。
 結句「散るといふものを」の「ものを」は逆接、詠嘆で、散るというのにの意である。言いさしの形で思いを残して結ぶ。

はふり:神に仕える神官
いはふ:身を清めて大切に祭る
しめなは:神域を示すために張る縄
出典
万葉集
前の歌
雨降ればたぎつ山川岩に触れ 君が砕かむ心は持たじ
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我が袖に霰た走る巻き隠し 消たずてあらむ妹が見むため