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梅が枝に降りおける雪を春近み
目のうちつけに花かとぞ見る

歌の意味
梅の枝に降り積もっている雪を、春が近いので、ふと目にしたとたん、花かと見ることだ。
鑑賞
巻第八 冬歌 497

詞書「題しらず」
 梅の枝に降り積もっている雪を、春が近いので、ふと目にしたとたん花かと見る、と詠んだ歌である。春を待ちわびる心が、枝の雪を梅の花と見まがわせるさまを表している。
 本巻の終わり近くには、春の近いことを詠む歌が続いている。雪を花に見立てる趣向に、春を待つ心を加えている点で、本巻の第四百七十五首などの見立てとは異なっている。
 作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。

 初句「梅が枝に」は、梅の枝に、の意である。
 二句「降りおける雪を」は、降り積もっている雪を、の意である。
 三句「春近み」は、「~み」の形で理由を表し、春が近いので、の意である。本巻の第五百一首の初句「春近く」と同じく、春の近さを詠んでいる。
 四句「目のうちつけに」は、ふと目にしたとたん、の意である。
 結句「花かとぞ見る」は、花かと見る、の意で、係助詞「ぞ」と連体形「見る」が係り結びをなしている。

うめがえ:梅の枝
うちつけ:突然であるさま、だしぬけ
作者
よみ人しらず
出典
後撰和歌集
前の歌
夜ならば月とぞ見まし我が宿の 庭白妙に降り積もる雪
次の歌
いつしかと山の桜もわがごとく 年のこなたに春を待つらん