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夜ならば月とぞ見まし我が宿の
庭白妙に降り積もる雪

歌の意味
もし夜であったなら、月の光だと見たことだろう。わが家の庭を真っ白にして降り積もっている雪よ。
鑑賞
巻第八 冬歌 496

詞書「題しらず」
 もし夜であったなら月の光だと見たことだろう、わが家の庭を真っ白にして降り積もる雪よ、と詠んだ歌である。昼の庭に降り積もった雪の白さを、夜の月光に見まがうほどだとたたえている。
 本巻の第五百三首は、夜にだけ降った白雪を照る月の光が積もったものと詠んでおり、雪と月光を重ねる趣向が対をなしている。本歌が昼の雪を夜の月に見立てたのに対し、第五百三首は夜の雪を月光そのものと見ている。
 作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。

 初句「夜ならば」は、もし夜であったならば、の意で、反実仮想の条件を示している。
 二句「月とぞ見まし」の「まし」は反実仮想の助動詞で、月の光だと見たことだろう、の意である。係助詞「ぞ」と連体形「まし」が係り結びをなし、ここで句切れとなる。
 三句「我が宿の」は、わが家の、の意である。
 四句「庭白妙に」の「白妙」は、真っ白なこと、の意で、庭を真っ白にして、の意である。
 結句「降り積もる雪」は、降り積もる雪よ、の意で、体言止めで一首を結び、二句と倒置の関係にある。

しろたへ:真っ白なこと、白い布
作者
よみ人しらず
出典
後撰和歌集
前の歌
降る雪にもの思ふわが身劣らめや 積もり積もりて消えぬばかりぞ
次の歌
梅が枝に降りおける雪を春近み 目のうちつけに花かとぞ見る