我が袖に跡踏みつけよ浜千鳥
逢ふことかたし見ても偲ばん
- 歌の意味
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私の袖に足跡を踏みつけておくれ、浜千鳥よ。あの人に逢うことは難しいから、せめてその跡を見てでも偲ぼう。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 1057
詞書は前の歌に続き「題しらず」
逢えない恋を地名や景物に寄せて詠む一連の十首目である。浜千鳥に袖へ足跡を踏みつけよと呼びかけ、逢うことは難しいので、その跡を見てでも偲ぼうと詠む。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者の「読人しらず」は前歌から続く表記で、作者名の伝わらない歌であることを示す。
初句「我が袖に」は、私の袖に、の意である。
二句「跡踏みつけよ」は、足跡を踏みつけよ、と命じる形である。千鳥の足跡は筆跡にたとえられ、せめて手紙だけでも、の意を含む。本巻の第千二十四首の興風歌の「跡踏みつくる浜千鳥」と同じ趣向である。
三句「浜千鳥」は呼びかけで、ここで三句切れとなる。
四句「逢ふことかたし」の「かた」は、難しい意の「難し」と、千鳥のいる「潟」を掛ける。ここで四句切れとなる。
結句「見ても偲ばん」は、跡を見てでも偲ぼう、の意である。本巻の第千二十三首の和泉式部歌も「跡をだに」と筆跡を求めており、跡に寄せる歌が響き合う。読人しらずの歌が続いた一連はこの歌で終わる。
かたし:難しい意の「難し」と、千鳥のいる「潟」を掛ける
しのぶ:思い慕う
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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水茎の岡の木の葉を吹き返し 誰かは君を恋ひんと思ひし
- 次の歌
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冬の夜の涙にこほる我が袖の 心とけずも見ゆる君かな