水茎の岡の木の葉を吹き返し
誰かは君を恋ひんと思ひし
- 歌の意味
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水茎の岡の木の葉を風が吹き返すように、思いもかけず心が翻り、誰があなたを恋しく思うようになろうと思っただろうか。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 1056
詞書は前の歌に続き「題しらず」
逢えない恋を地名や景物に寄せて詠む一連の九首目である。水茎の岡の木の葉が風に吹き返されるように、思いがけず心が翻り、あなたを恋うことになろうとは思いもしなかったと詠む。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者の「読人しらず」は前歌から続く表記で、作者名の伝わらない歌であることを示す。
初句「水茎の」は、歌枕として詠まれた水茎の岡を呼び出す。
二句「岡の木の葉を」は、岡の木の葉を、の意である。
三句「吹き返し」は、風が葉を吹いて裏返す、の意で、初句からここまでが、思いがけず心の翻るさまを導く。
四句「誰かは君を」の「かは」は反語の係助詞で、結句の「し」で結ぶ。
結句「恋ひんと思ひし」は、あなたを恋することになろうと思っただろうか、いや思いもしなかった、の意である。前歌まで水や濡れた袖に寄せた歌が続いたのに対し、ここでは風に翻る木の葉へと景を移している。
ふきかへす:風が吹いて裏返す
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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ありとのみ音に聞きつつ音羽川 渡らば袖に影も見えなん
- 次の歌
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我が袖に跡踏みつけよ浜千鳥 逢ふことかたし見ても偲ばん