冬の夜の涙にこほる我が袖の
心とけずも見ゆる君かな
- 歌の意味
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冬の夜の涙に凍る私の袖の氷が解けないように、心の打ち解けない様子にも見えるあなたであるよ。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 1058
詞書「女のもとより帰り侍りけるにほどもなく雪のいみじう降り侍りければ」
冬の氷に寄せて解けない心を詠む歌二首の一首目である。冬の夜の涙に凍った袖が解けないように、打ち解けない様子に見える相手を詠む。詞書によれば、女のもとから帰ってまもなく、雪がひどく降ったので詠んだ歌である。
作者の「中納言兼輔」は藤原兼輔である。右中将藤原利基の子で、従三位中納言に至った。賀茂川の堤に邸があったことから堤中納言と呼ばれ、紫式部の曾祖父にあたる。
初句「冬の夜の」は、冬の夜の、の意で、雪の降る夜を示す。
二句「涙にこほる」は、涙で凍る、の意である。
三句「我が袖の」は、私の袖の、の意で、初句からここまでが、袖の氷が解けないことから「とけず」を導く。
四句「心とけずも」の「とけ」は、氷が解ける意と、心が打ち解ける意を掛ける。
結句「見ゆる君かな」は、そう見えるあなたよ、の意で、詠嘆の「かな」で結ぶ。雪の降る夜に別れた女のつれなさを、凍った袖の氷に寄せて詠む。次歌の元真歌も「こころもとけぬ」と同じ語を用い、冬の氷に寄せた解けない心が二首続く。
こほる:凍る
とく:氷が解ける意と、心が打ち解ける意を掛ける
- 作者
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藤原兼輔
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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我が袖に跡踏みつけよ浜千鳥 逢ふことかたし見ても偲ばん
- 次の歌
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霜氷こころもとけぬ冬の池に 夜更けてぞ鳴く鴛の一声