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浅緑野辺の霞はつつめども
こぼれて匂ふ花桜かな

歌の意味
浅緑色の野辺の霞は包み隠しているけれども、こぼれるように美しく照り映える桜の花であることよ。
鑑賞
巻第一 春歌 40

詞書「菅家万葉集の中」
 野辺に立ちこめた浅緑の霞が桜を包み隠そうとしても、その美しさはあふれこぼれて目に映ると詠む。霞の淡い緑と桜の色との取り合わせが鮮やかである。詞書によれば、菅原道真が編んだとされる新撰万葉集に見える歌である。

 初句「浅緑」は、薄い緑色の意で、霞の色をいう。
 二句「野辺の霞は」は、野辺に立つ霞を示す。
 三句「つつめども」は、霞が桜を包み隠すけれども、の意で、「ども」が逆接を表す。
 四句「こぼれて匂ふ」は、包みきれずにこぼれ出て美しく照り映える意で、三句の「つつむ」と「こぼる」が呼応する。「匂ふ」は色が美しく映える意である。
 結句「花桜かな」は、「かな」の詠嘆で結ぶ。

にほふ:色が美しく照り映える
つつむ:包み隠す
作者
よみ人しらず
出典
拾遺和歌集
前の歌
吹く風に争ひかねてあしひきの 山の桜はほころびにけり
次の歌
吉野山消えせぬ雪と見えつるは 峰続き咲く桜なりけり