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涙川なに水上を尋ねけむ
物思ふ時のわが身なりけり

歌の意味
涙の川の水源を、どうして探し求めたりしたのだろう。それは恋に物思いをしている時の、自分自身であったのだ。
鑑賞
巻第十一 恋歌一 511

詞書「題しらず」
 涙を川にたとえ、その源を探し求めたら、ほかならぬ恋に悩む自分自身であったと気づく歌である。「涙川」という誇張した比喩を用い、流れる涙の多さと、その原因が自分の恋心にあるという発見を機知的に表している。

 初句「涙川」は、涙が川のように流れることをたとえた語である。本巻の第五百二十七首も同じ初句「涙川」で始まり、第五百二十九首、第五百三十一首の「涙の川」とともに、巻の後半で涙の川が繰り返し詠まれている。
 二句「なに水上を」の「水上」は、川の源、水源のことである。「なに」は、どうしての意である。
 三句「尋ねけむ」は、探し求めたのだろうかの意で、「けむ」は過去の事柄を推量する助動詞である。三句で切れる。
 四句「物思ふ時の」は、恋の物思いをしている時のの意である。
 結句「わが身なりけり」の「けり」は、気づきの詠嘆を表す。涙の源は自分自身であったという発見を示している。本巻の第五百三十四首の結句「わが身なりけれ」とも表現が通じている。

なみだがは:涙が川のように多く流れることのたとえ
みなかみ:川の源、水源
作者
よみ人しらず
出典
古今和歌集
前の歌
伊勢の海の海人の釣縄うちはへて くるしとのみや思ひわたらむ
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種しあれば岩にも松は生ひにけり 恋をし恋ひば逢はざらめやは