伊勢の海の海人の釣縄うちはへて
くるしとのみや思ひわたらむ
- 歌の意味
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伊勢の海の漁師が釣縄を長く張りわたして繰るように、いつまでも長く、苦しいとばかり思い続けるのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 510
詞書「題しらず」
伊勢の海の漁師が長く張り渡した釣縄を手繰る姿を序とし、いつまでも苦しいとばかり思い続ける恋を詠んだ歌である。縄を「繰る」と「苦し」を掛け、長く張り渡した縄のように果てしなく続く恋の苦しみを表している。前歌の浮子と対をなし、伊勢の海の釣りの情景で揃えられている。
初句「伊勢の海の」は、前歌の第五百九首と同じく伊勢の海を詠み、二首で対をなしている。
二句「海人の釣縄」は、漁師が使う、多くの釣り針をつけた長い縄のことである。
三句「うちはへて」は、長く張り渡しての意と、長く続けての意を重ねている。初句からここまでが四句の「くるし」を導く序詞である。
四句「くるしとのみや」の「くる」は、縄を「繰る」と「苦し」を掛けた掛詞である。「や」は係助詞で疑問を表し、結句の「む」と係り結びをなす。
結句「思ひわたらむ」は、ずっと思い続けるのだろうかの意で、「わたる」は、ずっと〜し続けるの意である。「張り渡す」縄の縁で「わたる」が用いられている。
つりなは:多くの釣り針をつけた長い縄
うちはふ:長く張り渡す。長く続ける
くるし:縄を繰る意と、苦しい意を掛ける
おもひわたる:ずっと思い続ける
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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伊勢の海に釣りする海人の浮子なれや 心ひとつを定めかねつる
- 次の歌
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涙川なに水上を尋ねけむ 物思ふ時のわが身なりけり