伊勢の海に釣りする海人の浮子なれや
心ひとつを定めかねつる
- 歌の意味
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伊勢の海で釣りをする漁師の浮子だからだろうか、たった一つの自分の心さえ定めかねていることだ。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 509
詞書「題しらず」
恋に揺れて定まらない自分の心を、波間に漂う釣りの浮子にたとえた歌である。自分の心なのに一つに定められない戸惑いを、浮子なのだろうかと自問するかたちで表している。前歌の大船に続き、海に浮かぶものに揺れる心を託している。
なお本文の結句は「定めかねつる」とあり、読み仮名の行の「ささめかねつる」と一致しない。ここでは本文の表記に従う。
初句「伊勢の海に」は、伊勢国の海のことで、漁業の盛んな海として歌に詠まれた。次歌の第五百十首も同じ「伊勢の海」で始まり、二首が対をなしている。
二句「釣りする海人の」は、釣りをする漁師のの意である。
三句「浮子なれや」の「浮子」は、釣り糸や網につけて水面に浮かべる目印である。「なれや」は、〜だからだろうかの意で、三句で切れる。字余りの句である。
四句「心ひとつを」は、たった一つの自分の心をの意で、一つであるはずの心が定まらない矛盾を表している。
結句「定めかねつる」は、定めることができないでいるの意で、波に揺れる浮子と、揺れ動く心を重ねている。
あま:漁師
うけ:釣り糸や網につけて水面に浮かべる目印
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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いで我を人なとがめそ大船の ゆたのたゆたに物思ふころぞ
- 次の歌
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伊勢の海の海人の釣縄うちはへて くるしとのみや思ひわたらむ