古典和歌stream

わたつみのかざしに挿せる白妙の
波もて結へる淡路島山

歌の意味
海の神が髪飾りとして挿しているのだろう。真っ白な波で結い巡らせたような淡路島の山は。
鑑賞
巻第十七 雑歌上 911

詞書「題しらず」
 白い波に囲まれた淡路島を、海の神が髪に挿した飾りに見立てた歌である。島を取り巻く白波を髪を結う白い紐に見立てる、大らかで華やかな見立てが印象的である。作者は未詳である。

 初句「わたつみの」は、前歌の第九百十首と同じ初句で、ここでは海の神を指し、擬人化の発想を導く。
 二句「かざしに挿せる」は、髪飾りとして挿しているの意で、島を海の神の髪飾りに見立てる。
 三句「白妙の」は、白い布の意から「白」を強調して「波」にかかる。
 四句「波もて結へる」は、波で結い巡らせているの意で、島を取り巻く白波を髪を結う紐に見立てる。
 結句「淡路島山」は体言止めで、見立ての対象を最後に示して印象を強める。

かざし:髪や冠に挿す花や飾り
しろたへ:白い布、白いこと
ゆふ:結ぶ、結う
作者
よみ人しらず
出典
古今和歌集
前の歌
わたつみの沖つ潮合ひに浮かぶ泡の 消えぬものから寄る方もなし
次の歌
わたの原寄せ来る波のしばしばも 見まくのほしき玉津島かも