わたつみの沖つ潮合ひに浮かぶ泡の
消えぬものから寄る方もなし
- 歌の意味
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大海の沖の潮の流れがぶつかり合う所に浮かぶ泡のように、消えてしまうわけではないが、身を寄せる所もない。
- 鑑賞
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巻第十七 雑歌上 910
詞書「題しらず」
沖の潮流がぶつかり合う所に浮かぶ泡を序として、消えてしまうわけでもないのに頼るところもない身の心細さを詠む歌である。漂う泡に、よるべない自分の身の上を重ねている。作者は未詳である。
本巻では本歌から第九百十八首まで、海や浦を詠む歌が続く。
初句「わたつみの」は、海、海の神の意で、広大な海を示す。次歌の第九百十一首も同じ初句で始まり、二首が並ぶ。
二句「沖つ潮合ひに」は、沖の潮流が出合う所を指す。「つ」は上代の格助詞である。
三句「浮かぶ泡の」は、上三句が四句を導く序詞となり、はかない身を泡に喩える。
四句「消えぬものから」の「ものから」は逆接の接続助詞で、消えはしないもののの意となる。
結句「寄る方もなし」は、泡が寄りつく岸もないことと、身を寄せる頼りもないことを重ねている。
わたつみ:海、また海の神
しほあひ:潮の流れが出合う所
よるかた:身を寄せる所、頼るところ
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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誰をかも知る人にせむ高砂の 松も昔の友ならなくに
- 次の歌
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わたつみのかざしに挿せる白妙の 波もて結へる淡路島山