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誰をかも知る人にせむ高砂の
松も昔の友ならなくに

歌の意味
いったい誰を心を知る友にしたらよいのだろう。長寿の高砂の松も、昔からの友ではないのだから。
鑑賞
巻第十七 雑歌上 909

詞書「題しらず」
 年老いて親しい友が皆亡くなり、誰を心の知れた友とすればよいのかと孤独を嘆く歌である。自分と同じく長く生きてきた高砂の松でさえ、昔からの友ではないと詠み、老いの寂しさを深く表している。
 作者の「藤原おきかせ」は藤原興風である。藤原道成の子で、琴の名手としても知られる。三十六歌仙の一人である。
 この歌は『小倉百人一首』の第三十四番として広く知られる。

 初句「誰をかも」は、疑問の「か」に詠嘆の「も」が付き、二句の「む」と係り結びをなす。
 二句「知る人にせむ」は、自分をよく知る親しい友にしようかの意で、ここで意味が切れる二句切れである。
 三句「高砂の」は、前歌の第九百八首と同じく、松の名所である播磨国の高砂を詠む。
 四句「松も昔の」は、長寿の象徴である松でさえもの意となる。
 結句「友ならなくに」は、打消のク語法「なく」に「に」が付き、友ではないのだからと倒置で理由を示す。前歌の結句「松ならなくに」と同じ形で、二首が対をなす。

しるひと:自分をよく知る人、知己
作者
藤原興風
出典
古今和歌集
前の歌
かくしつつ世をや尽くさむ高砂の 尾上に立てる松ならなくに
次の歌
わたつみの沖つ潮合ひに浮かぶ泡の 消えぬものから寄る方もなし