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かくしつつ世をや尽くさむ高砂の
尾上に立てる松ならなくに

歌の意味
こうしてむなしく過ごしながら一生を終えてしまうのだろうか。私は高砂の峰の上に立つ松のように長寿であるわけでもないのに。
鑑賞
巻第十七 雑歌上 908

詞書「題しらず」
 何もなしえないまま一生を終えてしまうのかと嘆き、高砂の松のように長く生きられる身でもないのにと詠む歌である。長寿の松と限りある人の命とを対比させ、過ぎゆく人生への焦りを表している。作者は未詳である。

 初句「かくしつつ」は、このようにして過ごしながらの意で、変わりばえのしない日々を示す。
 二句「世をや尽くさむ」は、疑問の「や」を受けて推量の「む」の連体形で結ぶ係り結びで、一生を終えてしまうのだろうかの意となる。ここで意味が切れる二句切れである。
 三句「高砂の」は、播磨国の歌枕で、松の名所として知られる。次歌の第九百九首も高砂の松を詠む。
 四句「尾上に立てる」は、峰の上に立っているの意である。
 結句「松ならなくに」は、打消のク語法「なく」に「に」が付き、松でもないのにの意となる。次歌の結句「友ならなくに」と同じ形で結ばれ、二首が響き合う。

をのへ:山の峰の上、尾上
たかさご:播磨国の地名、松の名所
作者
よみ人しらず
出典
古今和歌集
前の歌
あづさ弓磯辺の小松誰が世にか 万代かねて種をまきけむ
次の歌
誰をかも知る人にせむ高砂の 松も昔の友ならなくに