待つ人は誰ならなくにほととぎす
思ひのほかに鳴かばうからん
- 歌の意味
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待っているのはほかならぬこの私なのに、ほととぎすよ、思いがけない所で鳴いたなら、つらいことだろう。
- 鑑賞
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巻第四 夏歌 164
詞書「題しらず」
ほととぎすを待っているのはほかならぬ自分なのに、思いがけない所で鳴いたならつらいだろうと詠んだ歌である。ほととぎすを待ちわびる心に、自分以外の所へ通う恋人を恨む心を重ねたものとも読める。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「待つ人は」は、ほととぎすを待っている人は、の意である。
二句「誰ならなくに」は、ほかの誰でもないのに、の意で、「なくに」は打消を含んだ逆接を表す。待つのはほかならぬ自分だと強調している。
三句「ほととぎす」は、待たれる鳥への呼びかけである。前歌の第百六十三首に続き、ほととぎすを三句に置いている。
四句「思ひのほかに」は、思いもよらぬ所で、予想に反して、の意である。
結句「鳴かばうからん」の「ば」は仮定、「うから」は形容詞「憂し」、「ん」は推量で、鳴いたならつらいことだろう、の意である。
うし:つらい、憂鬱である
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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この頃は五月雨近み郭公 思ひ乱れて鳴かぬ日ぞなき
- 次の歌
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匂ひつつ散りにし花ぞ思ほゆる 夏は緑の葉のみ茂れば