匂ひつつ散りにし花ぞ思ほゆる
夏は緑の葉のみ茂れば
- 歌の意味
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美しく咲き匂いながら散ってしまった花が思い出される。夏は緑の葉ばかりが茂っているので。
- 鑑賞
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巻第四 夏歌 165
詞書「題しらず」
夏は緑の葉ばかりが茂っているので、美しく咲き匂いながら散った春の花が思い出されると詠んだ歌である。色彩に乏しい夏の木々を見て、過ぎ去った春の花をなつかしんでいる。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「匂ひつつ」の「匂ふ」は、花の色が美しく照り映える意で、「つつ」は継続を表す。
二句「散りにし花ぞ」の「にし」は、完了の助動詞「ぬ」の連用形と過去の助動詞「き」の連体形で、散ってしまった花、の意である。「ぞ」は強意の係助詞である。
三句「思ほゆる」は、自然と思い出される、の意で、連体形で二句の「ぞ」と係り結びをなす。ここで句切れとなり、下の句と倒置になっている。
四句「夏は緑の」は、夏は緑一色の、の意で、春の花の色と夏の葉の緑を対比させている。
結句「葉のみ茂れば」の「ば」は確定条件で、葉ばかりが茂っているので、と理由を示す。
おもほゆ:自然と思われる、思い出される
にほふ:色が美しく照り映える
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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待つ人は誰ならなくにほととぎす 思ひのほかに鳴かばうからん
- 次の歌
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五月雨に春の宮人来る時は 郭公をや鴬にせん