忘れぬる君はなかなかつらからで
今まで生ける身をぞ怨むる
- 歌の意味
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私を忘れてしまったあなたは、かえってつれないとは思われず、今まで生きながらえているこの身をこそ恨む。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 994
詞書は前の歌に続き「題しらず」
私を忘れてしまったあなたのことは、かえってつれないとも思われず、今まで生きながらえている自分の身をこそ恨む、と詠む歌である。恨みの矛先を相手から自分自身へと向け、忘れられてなお生き続ける身のつらさを詠んでいる。
初句「忘れぬる」は、忘れてしまった、の意で、「ぬる」は完了の助動詞「ぬ」の連体形である。前歌の第九百九十三首の「忘れなん」を受け、「忘る」の語が続いている。
二句「君はなかなか」は、あなたはかえって、の意で、「なかなか」は、かえって、の意である。
三句「つらからで」は、つれなく思われないで、の意で、「で」は打消の接続助詞である。
四句「今まで生ける」は、今まで生きながらえている、の意である。
結句「身をぞ怨むる」は、この身を恨む、の意で、係助詞「ぞ」を受けて、動詞「怨む」の連体形で結んでいる。二句の「君」と結句の「身」とを対比し、恨みの向かう先を転じている。本巻の第九百七十三首から続いた恨みの歌の一連と、恨みを詠む点が通じている。
いく:生く。生きる、生きながらえる
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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忘るるかいささは我も忘れなん 人にしたがふ心とならば
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我ばかり我を思はむ人もがな さてもや憂きと世を試みん