忘るるかいささは我も忘れなん
人にしたがふ心とならば
- 歌の意味
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あなたは私を忘れるのか。それならさあ、私も忘れてしまおう。この心が、あの人の心に従うものであるならば。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 993
詞書「題しらず」
あなたは私を忘れるのか、それならさあ私も忘れてしまおう、この心が相手に従うものであるならば、と詠む歌である。相手の心変わりに対して強がって見せながらも、実際には自分の心が思うようにならないことを、仮定の形でほのめかしている。
初句「忘るるか」は、忘れるのか、の意で、相手の心変わりを問いただしている。ここで句切れとなる。前歌の第九百九十二首の結句「忘れはてねと」を受け、「忘る」の語を重ねている。
二句「いささは我も」は、さあそれなら私も、の意で、「いさ」は誘いかける語、「さは」は、それならば、の意である。
三句「忘れなん」は、忘れてしまおう、の意で、「な」は完了の助動詞「ぬ」の未然形、「ん」は意志の助動詞である。ここで句切れとなる。
四句「人にしたがふ」は、相手の心に従う、の意である。
結句「心とならば」は、心であるならば、の意で、三句の決意に条件を添える倒置となっている。心は相手に従わないものだという含みを残している。
したがふ:従ふ。あとについていく、従う
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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逢ふことは心にもあらでほど経とも さやは契りし忘れはてねと
- 次の歌
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忘れぬる君はなかなかつらからで 今まで生ける身をぞ怨むる