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ちはやぶる香椎の宮のあや杉は
神のみそぎに立てるなりけり

歌の意味
香椎の宮の綾杉は、神のみそぎのために立っているのであったよ。
鑑賞
巻第十九 神祇歌 1886

詞書「香椎宮の杉を詠み侍りける」
 諸国の社を詠む歌の一首目である。香椎宮の綾杉は、神のみそぎのために立っているのだったと詠む歌である。詞書によれば、香椎宮の杉を詠んだ歌である。神木の杉を、神事のために立つものとして尊んでいる。
 作者は「よみ人しらず」とあり、名は伝わらない。
 香椎宮は筑前国(今の福岡市東区)に鎮座し、仲哀天皇と神功皇后を祀る神社である。綾杉は境内の神木として知られる。

 初句「ちはやぶる」は「神」にかかる枕詞で、ここでは神の宮である「香椎の宮」にかかる。
 二句「香椎の宮の」は、筑前国の香椎宮を指す。前歌までの伊勢から、遠く筑紫の社へと移る。
 三句「あや杉は」は、香椎宮の神木の杉である。
 四句「神のみそぎに」は、神のみそぎのために、の意である。「みそぎ」は身を清める神事をいう。
 結句「立てるなりけり」は、立っているのであったよ、の意である。存続の助動詞「り」の連体形「る」に断定の「なり」、詠嘆の「けり」が付き、気づきの感動を示す。

あやすぎ:香椎宮の神木の杉。綾杉と書く
みそぎ:水で身を清める神事
作者
よみ人しらず
出典
新古今和歌集
前の歌
五十鈴川空やまだきに秋の声 下つ岩根の松の夕風
次の歌
榊葉にその言ふかひはなけれども 神に心をかけぬ間ぞなき