逢ふことは心にもあらでほど経とも
さやは契りし忘れはてねと
- 歌の意味
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逢うことは、心ならずも間があいて日が経ってしまっても、そのように約束しただろうか、すっかり忘れてしまえなどと。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 992
詞書「女の許に遣はしける」
逢うことは心ならずも間があいてしまっても、すっかり忘れてしまえなどと約束しただろうか、と詠む歌である。逢えない日々が続いても、決して相手を忘れるつもりはないという思いを、反語によって訴えている。
詞書によれば、女のもとに贈った歌である。訪れが途絶えたことを女に恨まれ、心ならずも逢えずにいるのだと弁明する気持ちが込められている。
作者の「平忠依」は、平安時代中期の官人で、詳しい経歴は伝わっていない。
初句「逢ふことは」は、逢うことは、の意である。
二句「心にもあらで」は、心ならずも、本意ではなく、の意で、「で」は打消の接続助詞である。
三句「ほど経とも」は、時が経っても、の意で、「とも」は逆接の仮定を表す。
四句「さやは契りし」は、そのように約束しただろうか、いやしていない、の意で、「やは」は反語を表し、「し」は過去の助動詞「き」の連体形である。ここで句切れとなる。
結句「忘れはてねと」は、すっかり忘れてしまえと、の意で、「ね」は完了の助動詞「ぬ」の命令形である。四句の「さ」の内容を倒置によって後から示している。次歌の第九百九十三首の「忘れなん」、第九百九十四首の「忘れぬる」と、「忘る」の語を共有している。
ほどふ:程経。時が経つ
ちぎる:契る。約束する、男女が将来を誓う
わすれはつ:忘れ果つ。すっかり忘れてしまう
- 作者
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平忠依
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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いにしへをさらにかけじと思へども あやしく目にも満つ涙かな
- 次の歌
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忘るるかいささは我も忘れなん 人にしたがふ心とならば