いにしへをさらにかけじと思へども
あやしく目にも満つ涙かな
- 歌の意味
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過ぎ去った昔のことを、もう決して心にかけまいと思うけれども、不思議と目にもあふれてくる涙であることよ。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 991
詞書「左大臣女御失せ侍りにければ、父大臣のもとに遣はしける」
過ぎ去った昔のことはもう心にかけまいと思うのに、不思議と目にあふれてくる涙であることよ、と詠む歌である。亡き女御との日々を思い出すまいとしながらも、こらえきれずにあふれる涙に、深い悲しみと愛惜が表れている。
詞書によれば、左大臣の娘である女御が亡くなったので、父の大臣のもとに贈った歌である。左大臣は藤原実頼、女御はその娘の述子で、村上天皇の女御となったが、若くして亡くなった。亡き女御を悼む帝の思いを、父大臣と分かち合おうとしている。
作者の「天暦御製」は村上天皇である。醍醐天皇の皇子で、その治世は天暦の治と称えられた。後撰和歌集の撰進を命じ、天徳四年の内裏歌合を催した。
初句「いにしへを」は、過ぎ去った昔のことを、の意で、亡き女御と過ごした日々を指す。本巻の第九百六十五首の三句「いにしへも」と、同じ語を共有している。
二句「さらにかけじと」は、決して心にかけまいと、の意で、「さらに」は打消と呼応して、決して、の意を表し、「じ」は打消の意志を表す。
三句「思へども」は、思うけれども、の意で、逆接を表す。
四句「あやしく目にも」は、不思議と目にも、の意である。
結句「満つ涙かな」は、満ちあふれる涙であることよ、の意で、「かな」は詠嘆を表す。恋の巻にあって、亡き人を悼む涙を詠む歌である。
いにしへ:古。昔、過ぎ去った時
かく:掛く。心にかける
- 作者
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村上天皇
- 出典
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拾遺和歌集
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とにかくに物は思はず飛騨工 打つ墨縄のただ一筋に
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逢ふことは心にもあらでほど経とも さやは契りし忘れはてねと