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吉野山消えせぬ雪と見えつるは
峰続き咲く桜なりけり

歌の意味
吉野山で消えずに残る雪と見えたのは、峰続きに咲いている桜であった。
鑑賞
巻第一 春歌 41

詞書「題しらず」
 吉野山の峰々に白く見えるものを消えない雪と思ったが、実は峰続きに咲く桜だったと気づく歌である。雪と見まがう桜という見立てで、吉野の花の盛りを大きな景としてとらえている。

 初句「吉野山」は、本巻の第四首と同じく吉野を詠む。第四首が雪の消えて霞に変わる吉野を詠んだのに対し、本歌は雪と見えたものが桜であったとする。
 二句「消えせぬ雪と」は、消えることのない雪と、の意である。
 三句「見えつるは」は、見えたのは、の意で、上の句全体を主語としてまとめる。
 四句「峰続き咲く」は、峰から峰へと連なって咲くさまを示す。
 結句「桜なりけり」は、雪と思ったのは桜であったという気づきを「けり」で表す。本巻の第九首が吉野の山の雪を花と見たのと対をなし、ここでは見立てが事実として明かされる。

みねつづき:峰が連なっていること
作者
よみ人しらず
出典
拾遺和歌集
前の歌
浅緑野辺の霞はつつめども こぼれて匂ふ花桜かな
次の歌
春霞立ちな隔てそ花盛り 見てだに飽かぬ山の桜を