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ほの見ても目馴れにけりと聞くからに
臥しかへりこそ死なまほしけれ

歌の意味
ほのかに見ただけでも見慣れてしまったと聞くとすぐに、身を伏して転げ回り、死んでしまいたいほどだ。
鑑賞
巻第十二 恋歌四 857

詞書「返し」
 ほのかに見ただけでも見慣れたと聞くと、転げ回って死にたいほどだ、と詠んだ歌である。わずかに見ただけで見慣れたと言う男の言葉を、飽きたという意に受け取り、大げさに嘆いてみせて切り返している。
 前歌の第八百五十六首への返しである。前歌の「ほのめき」を「ほの見ても」で受けて応じている。
 作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。

 初句「ほの見ても」は、ほのかに見ただけでも、の意で、前歌の「ほのめきつれば」を受けている。
 二句「目馴れにけりと」は、見慣れてしまったと、の意で、飽きたという意を読み取っている。
 三句「聞くからに」は、聞くとすぐに、の意である。
 四句「臥しかへりこそ」は、身を伏して転げ回って、の意で、「こそ」は強めの係助詞である。
 結句「死なまほしけれ」は、死んでしまいたい、の意で、「まほし」は願望を表し、四句の「こそ」を受けて已然形で結ぶ係り結びとなっている。

めなる:見慣れる
ふしかへる:伏して身をよじる、転げ回る
作者
よみ人しらず
出典
後撰和歌集
前の歌
かげろふのほのめきつれば夕暮の 夢かとのみぞ身をたどりつる
次の歌
あふみてふ方のしるべも得てしかな みるめなきことゆきてうらみん