沢水にかはづ鳴くなり山吹の
うつろふ影や底に見ゆらん
- 歌の意味
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沢の水辺で蛙が鳴いている。山吹の色あせていく姿が水の底に映って見えるのだろうか。
- 鑑賞
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巻第一 春歌 71
詞書「題しらず」
沢の水辺で蛙が鳴いているのは、色あせていく山吹の姿が水底に映って見えるからだろうかと詠む。蛙の声と山吹という晩春の景物を取り合わせ、過ぎゆく春への惜別をにじませている。
初句「沢水に」は、沢の水辺を示す。
二句「かはづ鳴くなり」は、「なり」が音によって推定する助動詞で、蛙の鳴き声が聞こえることをいう。二句切れである。
三句「山吹の」は、前歌に続く山吹の歌で、蛙と山吹の取り合わせは井手の名物として知られる。
四句「うつろふ影や」は、色あせていく姿の意で、「や」の係り結びで結句の「らん」で結ぶ。前歌の「うつろひぬらん」と同じ語を受けている。
結句「底に見ゆらん」は、水底に映って見えるのだろうか、と原因を推し量る。
かはづ:蛙。特にカジカガエルをいうともされる
うつろふ:花の色があせる。衰える
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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物も言はで眺めてぞ経る山吹の 花に心ぞうつろひぬらん
- 次の歌
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わが宿の八重山吹は一重だに 散り残らなん春の形見に