鳴きわびぬいづちか行かん郭公
なほ卯の花の影は離れじ
- 歌の意味
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鳴き疲れてしまった。どこへ行こうか、ほととぎすよ。やはり卯の花の陰からは離れまい。
- 鑑賞
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巻第四 夏歌 156
詞書は前の歌に続き「友達の訪らひまで来ぬことを恨みつかはすとて」
鳴き疲れてどこへ行こうかと迷うほととぎすが、それでも卯の花の陰からは離れまいと詠んだ歌である。ほととぎすと卯の花の離れがたい結びつきに、相手から離れられない心を重ねている。
本文では前歌と同じ詞書が付されており、訪れのない友に贈った一連の歌として並べられている。卯の花の垣根を詠む一連は、本歌で結ばれる。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。原文の作者表記は「よみ人も」とあるが、ここでは「よみ人しらず」として扱う。
初句「鳴きわびぬ」は、鳴き疲れてしまった、の意で、「わぶ」は思うようにならず困り果てる意、「ぬ」は完了を表す。ここで句切れとなる。
二句「いづちか行かん」の「いづち」はどちらへ、の意で、「か」は疑問の係助詞、「ん」は意志の助動詞「む」の連体形で係り結びをなす。
三句「郭公」は、鳴き疲れたほととぎすへの呼びかけで、恨みを抱えながら待つ自身の姿を重ねている。
四句「なほ卯の花の」は、それでもやはり卯の花の、の意で、卯の花とほととぎすの取り合わせを確かめている。本巻の第百四十八首から続く卯の花の一連は、ここで結ばれる。
結句「影は離れじ」の「影」は物陰、「じ」は打消の意志で、陰からは離れまい、の意である。
なきわぶ:鳴き疲れる、鳴いても甲斐がなく困り果てる
いづち:どちら、どこへ
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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時分かず月か雪かと見るまでに 垣根のままに咲ける卯の花
- 次の歌
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あひ見しもまだ見ぬ恋も郭公 月に鳴く夜ぞ世に似ざりける