五月雨は近くなるらし淀河の
あやめの草もみくさ生ひにけり
- 歌の意味
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五月雨の季節が近くなったらしい。淀川のあやめ草も、水草とともに生い茂ったことだ。
- 鑑賞
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巻第二 夏歌 108
詞書「延喜御時歌合に」
淀川のあやめ草が水草とともに生い茂ったのを見て、五月雨の季節が近づいたことを知る歌である。水辺の草の伸びに季節の移りを感じ取る、写生的な趣をもつ一首である。詞書によれば、醍醐天皇の延喜の御代に催された歌合に出された歌である。
初句「五月雨は」は、陰暦五月に降り続く長雨をいう。本巻で初めて五月雨が詠まれ、本巻の第百十六首から第百十八首にかけて五月雨の歌が続く。
二句「近くなるらし」は、近づいたらしい、の意で、「らし」は根拠に基づく推定の助動詞である。ここで句切れとなる。
三句「淀河の」は、山城国を流れる淀川をいう。本巻の第百十三首、第百十四首でも淀の地が詠まれる。
四句「あやめの草も」は、五月五日の節句に用いるあやめ草をいう。本歌から第百十一首まで、あやめ草を詠む歌が続く。
結句「みくさ生ひにけり」は、水草が生い茂ったことだ、の意で、「けり」は詠嘆の助動詞である。二句の推定の根拠を示している。
さみだれ:陰暦五月に降り続く長雨。梅雨
あやめぐさ:ショウブの古名。端午の節句に軒に挿したり、薬玉にしたりした
みくさ:水辺に生える草。水草
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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この里にいかなる人か家居して 山郭公絶えず聞くらむ
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昨日までよそに思ひしあやめ草 今日我が宿のつまと見るかな