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初声の聞かまほしさに郭公
夜深く目をもさましつるかな

歌の意味
ほととぎすの初声を聞きたさに、夜更けに目を覚ましてしまったことだ。
鑑賞
巻第二 夏歌 96

詞書「題しらず」
 ほととぎすの初声を聞きたい一心で、夜更けに目を覚ましてしまったと詠む歌である。初音を待ちわびる心が眠りをも妨げるほどであることを、素直に表している。

 初句「初声の」は、その年に初めて聞くほととぎすの声をいう。本巻では第百首、第百三首でも初声が詠まれ、初音を待つ心が一連の主題となっている。
 二句「聞かまほしさに」は、聞きたさに、の意で、「まほし」は願望の助動詞である。本巻の第百六首の結句にも同じ「聞かまほしさに」が用いられる。
 三句「郭公」は、待ちわびる対象であるほととぎすをいう。前歌の、鳴くのが遅いと嘆く心を受け、本歌は自ら夜更けに起きて待つ姿を詠む。
 四句「夜深く目をも」は、夜更けに目をも、の意である。本巻の第百五首はこの四句と結句をそのまま共有しており、両歌は同じ下の句で異なる上の句を持つ。
 結句「さましつるかな」は、覚ましてしまったことよ、の意で、「つる」は完了の助動詞、「かな」は詠嘆の終助詞である。

はつこゑ:その年に初めて聞く鳥の鳴き声。初音
作者
よみ人しらず
出典
拾遺和歌集
前の歌
春かけて聞かむともこそ思ひしか 山郭公遅く鳴くらん
次の歌
家に来て何を語らむあしひきの 山郭公一声もがな