我が宿の垣根に植ゑし撫子は
花に咲かなむよそへつつ見む
- 歌の意味
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我が家の垣根に植えた撫子は、花となって咲いてほしい。恋しい人になぞらえながら見よう。
- 鑑賞
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巻第四 夏歌 199
詞書「題しらず」
我が家の垣根に植えた撫子が花となって咲いてほしい、恋しい人になぞらえて見ようと詠んだ歌である。逢えない人の代わりに、撫子の花をその人と見て慰めようとする心を表している。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。原文の作者表記は「よみ人も」とあるが、ここでは「よみ人しらず」として扱う。
藤原定家の定家八代抄にも採られている。
初句「我が宿の」は、我が家の、の意である。
二句「垣根に植ゑし」は、垣根に植えた、の意で、「し」は過去の助動詞「き」の連体形である。本巻の前半で卯の花を咲かせた垣根に、ここでは撫子を植えている。
三句「撫子は」は、撫子の花を示す。前歌の第百九十八首の「常夏」と同じ花である。
四句「花に咲かなむ」の「なむ」は他に対する願望の終助詞で、花となって咲いてほしい、の意である。ここで句切れとなる。
結句「よそへつつ見む」の「よそふ」は、なぞらえる意で、「つつ」は反復、「む」は意志を表す。恋しい人になぞらえながら見よう、の意である。
よそふ:なぞらえる、たとえる
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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人知れずわがしめし野の常夏は 花咲きぬべき時ぞ来にける
- 次の歌
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常夏の花をだに見ばことなしに 過ぐす月日も短かりなん