常夏の花をだに見ばことなしに
過ぐす月日も短かりなん
- 歌の意味
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せめて常夏の花だけでも見ることができたなら、何事もなく過ごす月日も短く感じられるだろう。
- 鑑賞
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巻第四 夏歌 200
詞書「題しらず」
せめて常夏の花だけでも見られたなら、何事もなく過ごす月日も短く思われるだろうと詠んだ歌である。常夏に恋しい人をなぞらえ、逢うことはかなわなくとも、せめて姿だけでも見たいと願っている。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。原文の作者表記は「よみ人も」とあるが、ここでは「よみ人しらず」として扱う。
初句「常夏の」は、撫子の異名である常夏を示し、恋しい人をなぞらえている。前歌の第百九十九首の撫子を受けている。
二句「花をだに見ば」の「だに」は最小限の限定を表す副助詞で、せめて花だけでも見たならば、の意である。「ば」は仮定を表す。
三句「ことなしに」は、何事もなく、の意で、恋の進展のない日々を表している。
四句「過ぐす月日も」は、過ごしている月日も、の意である。本巻の第百九十七首、第二百十二首にも「過ぐす」が詠まれている。
結句「短かりなん」の「な」は強意、「ん」は推量で、きっと短く感じられるだろう、の意である。
とこなつ:撫子の異名
ことなし:何事もない、平穏である
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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我が宿の垣根に植ゑし撫子は 花に咲かなむよそへつつ見む
- 次の歌
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常夏に思ひそめては人知れぬ 心のほどは色に見えなん