いつとても恋しからずはあらねども
秋の夕べはあやしかりけり
- 歌の意味
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いつだって恋しくないことはないけれども、秋の夕暮れは、不思議なほど恋しさがつのることだ。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 546
詞書「題しらず」
いつも恋しく思っているけれども、秋の夕暮れには不思議なほど恋しさがつのると詠む歌である。秋の夕暮れを恋しさの極まる時とする感覚を、平明な言葉で率直に言い表している。秋の夕暮れのもの寂しさを恋の情と結びつけた歌として名高く、後の時代にも好まれた一首である。
初句「いつとても」は、いつであってもの意である。
二句「恋しからずは」は、恋しくないことはの意である。
三句「あらねども」は、ないけれどもの意で、初句からここまでで、いつも恋しいことを二重の打消しで表している。
四句「秋の夕べは」は、秋の夕暮れはの意である。本巻の第四百八十四首の「夕暮れは」、前歌の第五百四十五首の「夕されば」とともに、夕暮れを恋しさのつのる時として詠んでいる。
結句「あやしかりけり」の「あやし」は、不思議だ、わけがわからないの意で、「けり」は気づきの詠嘆を表す。秋の夕暮れに特別に恋しさがつのることへの驚きを込めている。
あやし:不思議だ、わけがわからない
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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夕さればいとど干がたきわが袖に 秋の露さへ置き添はりつつ
- 次の歌
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秋の田のほにこそ人を恋ひざらめ などか心に忘れしもせむ