秋の田のほにこそ人を恋ひざらめ
などか心に忘れしもせむ
- 歌の意味
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秋の田の稲穂のように、表に出してあの人を恋い慕うことはしないだろうが、どうして心の中で忘れたりするだろうか。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 547
詞書「題しらず」
秋の田の稲穂が目立つように表立って恋することはしないが、心の中では決して忘れはしないと詠む歌である。「穂」に「秀(ほ)」、すなわち表に現れる意を掛け、秘めた恋の強さを表している。次歌の第五百四十八首も「秋の田の穂」で始まり、二首が秋の田の景で揃えられている。
初句「秋の田の」は、秋の実った田のことで、二句の「ほ」を導いている。次歌の第五百四十八首も同じ初句で始まっている。
二句「ほにこそ人を」の「ほ」は、稲の「穂」と、表に目立って現れる意の「秀」を掛けた掛詞である。「こそ」は係助詞で三句の「め」と係り結びをなす。
三句「恋ひざらめ」は、恋い慕うことはしないだろうがの意で、「こそ〜め」の係り結びが逆接となって下に続いている。
四句「などか心に」の「などか」は、どうして〜か、いや〜ないの意の反語である。
結句「忘れしもせむ」は、忘れたりしようかの意で、「し」「も」は強意を表す。表には出さなくとも心では忘れないという決意を示している。本巻の第五百四十九首も「ほに出でて」と同じ「ほ」の掛詞を用いている。
ほ:稲の穂の意と、表に目立って現れる意を掛ける
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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いつとても恋しからずはあらねども 秋の夕べはあやしかりけり
- 次の歌
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秋の田の穂の上を照らす稲妻の 光の間にも我や忘るる