夕さればいとど干がたきわが袖に
秋の露さへ置き添はりつつ
- 歌の意味
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夕方になると、恋の涙でいっそう乾きにくくなる私の袖に、秋の露までが置き加わっていくことだ。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 545
詞書「題しらず」
夕暮れになるとつのる恋しさの涙で乾く暇もない袖に、秋の露までが加わって濡れまさると詠む歌である。涙と露を重ねる表現で、秋の夕暮れの寂しさと恋の悲しみが一体となっている。前の夏の歌から季節が移り、ここから秋の景物で恋を詠む歌が続いている。
なお本文の初句は「ゆふされは」とあり、読み仮名の行の「ゆふくれは」と一致しない。ここでは本文の表記に従う。
初句「夕されば」は、夕方になるとの意で、恋しさのつのる時刻を示している。次歌の第五百四十六首の「秋の夕べ」とともに、秋の夕暮れの恋が続けて詠まれている。
二句「いとど干がたき」は、いっそう乾きにくいの意で、「いとど」は、ますますの意である。
三句「わが袖に」は、恋の涙に濡れた私の袖にの意である。
四句「秋の露さへ」の「さへ」は、そのうえ〜までもの意で、涙に加えて露までもということを表している。
結句「置き添はりつつ」は、置き加わっていくの意で、「つつ」は継続を表す。涙と露が重なって袖がいっそう濡れるさまを詠んでいる。
ゆふさる:夕方になる
ひがたし:乾きにくい
おきそはる:露などが置き加わる
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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夏虫の身をいたづらになすことも ひとつおもひによりてなりけり
- 次の歌
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いつとても恋しからずはあらねども 秋の夕べはあやしかりけり