植ゑて見る君だに知らぬ花の名を
我しもつけんことのあやしさ
- 歌の意味
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植えて眺めているあなたでさえ知らない花の名を、よりによって私が付けようとは、なんとも不思議なことだ。
- 鑑賞
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巻第七 物名 361
詞書「しもつけ」
植えて眺めている当人さえ知らない花の名を、よりによって自分が付けようとは不思議なことだと詠む歌である。花の名を付けると言いながら、四句の「我しもつけん」の音の続きに、詞書の「しもつけ」の名を隠している。物の名を隠す物名の巻にふさわしく、花の名そのものを話題にした機知の歌である。詞書の「しもつけ」は、この歌に詠み込まれた物の名である。
初句「植ゑて見る」は、植えて眺めている、の意である。
二句「君だに知らぬ」は、あなたでさえ知らない、の意で、「だに」は軽いものをあげて重いものを類推させる副助詞である。
三句「花の名を」は、花の名を、の意である。本巻の第四百三首は花の名を忘れると詠み、ここでは花の名を付けると詠んで対をなしている。
四句「我しもつけん」は、ほかならぬ私が付けようとは、の意で、「しも」は強めの助詞である。「しもつけ」の名を隠している。
結句「ことのあやしさ」は、なんと不思議なことか、の意で、体言止めである。
しもつけ:下野草。初夏に淡紅色の小花をつける木。「我しも付けむ」の音の続きに隠して詠み込む
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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紫の色にはさくなむさしのの 草のゆかりと人もこそ見れ
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河上に今よりうたむ網代には まづ紅葉葉や寄らむとすらん