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河上に今よりうたむ網代には
まづ紅葉葉や寄らむとすらん

歌の意味
川上に今から打ち据えようとする網代には、魚より先に、まず紅葉の葉が寄ろうとするのだろうか。
鑑賞
巻第七 物名 362

詞書「りうたむ」
 川上にこれから打ち据える網代には、魚よりも先に紅葉の葉が寄ってくるのだろうかと詠む歌である。秋の川に流れる紅葉の景を、網代という冬の仕掛けに取り合わせ、二句の「よりうたむ」の音の続きに、詞書の「りうたむ」の名を隠している。詞書の「りうたむ」は、この歌に詠み込まれた物の名である。
 古今和歌集の物名にも「りうたむの花」の題で紀友則の歌があり、同じ題が詠み継がれている。

 初句「河上に」は、川の上流に、の意である。
 二句「今よりうたむ」は、今から打ち据えようとする、の意で、網代の杭を打つことをいう。「よりうたむ」に「りうたむ」の名を隠している。
 三句「網代には」は、網代には、の意である。
 四句「まづ紅葉葉や」は、まず紅葉の葉が、の意で、「や」は疑問の係助詞である。
 結句「寄らむとすらん」は、寄ろうとするのだろうか、の意で、係助詞「や」を受けて連体形「らん」で結ぶ。

りうたむ:竜胆。秋に青紫の花をつける草。「今より打たむ」の音の続きに隠して詠み込む
あじろ:川に竹や木を編んで立て、魚をとるしかけ。網代
作者
よみ人しらず
出典
拾遺和歌集
前の歌
植ゑて見る君だに知らぬ花の名を 我しもつけんことのあやしさ
次の歌
あだ人のまがきちかうな花植ゑそ にほひもあへず折りつくしけり