忘れなむ我を恨むな郭公
人のあきにはあはむともせず
- 歌の意味
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あなたを忘れてしまおうとする私を恨まないでおくれ。ほととぎすが秋に会おうとしないように、私もあの人に飽きられる時にまで会おうとは思わないのだ。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 719
詞書「題しらず」
夏の鳥であるほととぎすが秋を待たずに去っていくように、相手に飽きられる前に自分から身を引こうという心を、ほととぎすに呼びかける形で詠んだ歌である。「あき」に季節の「秋」と心の「飽き」を掛け、自ら去る者の潔さと哀しみを表している。
前歌の第七百十八首と「忘れなむ」の句を共有して対をなしている。ほととぎすに呼びかける形は本巻の第七百十首と共通し、「あき」の掛詞は第六百八十八首、第七百二十五首にも見られる。
初句「忘れなむ」は、忘れてしまおうの意で、強意の「な」に意志の「む」が付いた形であり、前歌の初句と同じ語で始まる。
二句「我を恨むな」は、私を恨まないでくれの意で、禁止の「な」で結び、ここで句切れとなる。
三句「郭公」は、ほととぎすへの呼びかけで、夏の鳥であり、秋を待たずに去っていく。
四句「人のあきには」の「あき」は、季節の「秋」と、人に飽きられる「飽き」を掛けた掛詞である。
結句「あはむともせず」は、会おうともしないの意で、ほととぎすが秋に鳴かないことと、飽きられる前に身を引く心を重ねている。
ほととぎす:初夏に渡来して鳴き、秋には去る鳥
あき:季節の秋の意と、飽きて心が離れる意の飽きを掛ける
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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忘れなむと思ふ心のつくからに ありしよりけにまづぞ恋しき
- 次の歌
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絶えずゆく飛鳥の川のよどみなば 心あるとや人の思はむ